2013年10月4日金曜日

公開学習会《在日朝鮮人運動は何と対峙するか~在日朝鮮人への攻撃の本質とこれからの実践》

USMの公開学習会のお知らせです!

《在日朝鮮人運動は何と対峙するか~在日朝鮮人への攻撃の本質とこれからの実践》

●日時:10月26日(土)開場13:30
    開始14:00~17:30(終了後、会場にて食事懇親会)

●会場:名古屋コリアンスクール2階教室
   (JR/地下鉄千種駅徒歩15分) ※無料駐車スペースあり
    地図→ http://goo.gl/maps/JKCHf 名古屋市千種区豊年町8-23

●参加費:800円(食事懇親会2000円※学生等割引あり

●内容:報告とディスカッション

 【講師】
 崔権一さん(大阪朝鮮高級学校教員)
  報告①:「在日朝鮮人と運動に対する攻撃の本質」
 鄭栄桓さん(明治学院大学准教授)
  報告②:「解放後の在日朝鮮人運動~何と、どのように闘ってきたか」
 金東鶴さん(在日本朝鮮人人権協会事務局長)
  報告③:「在日朝鮮人の権利擁護・獲得運動の実践と成果」

 ★第2部ディスカッション司会:米津篤八さん(翻訳家)

 【趣旨】
 高校無償化制度からの朝鮮学校除外や排外デモ、ヘイトスピーチなど、在日朝鮮人に対する官民一体となった差別・弾圧が繰り広げられていますが、これは最近になってまきおこってきたムーブメントではありません。
 いま、あらためて戦前・戦後と一貫した日本の朝鮮人弾圧の歴史の中に現在の問題を位置づけて捉える必要があると考えます。「日本」を問うことを留保したままの、歴史的視点を欠いた「対抗言説」が、対抗する力となるよりむしろ空洞化、共犯化してしまっている状況をみても、その作業は重要です。
 一方、厳しい状況の中でも、これまでの在日朝鮮人の権利擁護・獲得運動は、粘り強い実践の中で多くの成果をかちとってきました。今回、在日朝鮮人の運動が、「何と、どのように闘ってきたか」をみることで、「何が変わり何が変わらなかったのか」、在日朝鮮人をとりまく問題の本質に対する認識を深めるとともに、これからの運動の論理を練り上げていく実践として、公開学習会を開くことにしました。

 みなさんのご参加をお待ちしています!


★会場の席に限りがありますので、懇親会含め、できる限り事前に参加を申請していただけると助かります!!(usm.aichi@gmail.comまで) 



【タイムテーブル】
●第1部~在日朝鮮人に対する攻撃の本質とは?その歴史と現在
13:30開場
14:00趣旨説明
14:05報告①
14:50休憩
15:00報告②
15:45休憩
●第2部~これからの運動の論理と実践
16:00報告③
16:45ディスカッション
17:30終了
●食事交流会
17:45~


★おことわり
学習会の運営に支障をきたす方の参加はお断りします。会場にて運営の妨害と判断した場合は退席していただきます。また、会場内での撮影、録音はお断りします。

2013年7月5日金曜日

【紹介】映画『ウリハッキョ』上映会@名古屋大学

7月4日、USMとも連携している名古屋大学コリアン文化研究会が主催となって、映画『ウリハッキョ』の上映会を行いました!



名大生を中心に約20人の参加者が、『ウリハッキョ』を鑑賞。

ほとんどがはじめてみる「ウリハッキョ」の姿に、いろいろな感想がよせられました。

とても意義深い上映会だったと思います。

以下、参加者の感想を一部紹介します。


※ ※ ※


「ウリハッキョに通う生徒たちは団結力があって兄弟のようでした。日本の学校にはない温かい雰囲気があってステキだなと思いました。学校外では日本の文化の中で生活しているからこそ、朝鮮人として生きることの意識や誇りが大きいのかなと感じました。日本での差別と戦いながら強く生きていれるのはその団結力と民族としての誇りがあるからだと思います。映画を観てウリハッキョの雰囲気を少しだけでも感じることができとてもいい機会でした。」(大学生)

「映画の中で、日本にいると在日朝鮮人として差別的な体験をしたり自分が朝鮮人であることを隠したりということが描かれていたが、在日朝鮮人の方々が堂々と朝鮮人と名乗ることができ、差別的な扱いをうけないような社会になってほしいし、ならなければならないと思う。『ウリハッキョ』で朝鮮人のアイデンティティを確立し、人のために同胞のためにと頑張るみなさんが素敵でした。」(名古屋大学1年)

「単純に映画に感動をしたし、それと同時に胸が詰まる感じがした。朝鮮学校に対する知識がなかったので初めて学ぶことが本当にたくさんあった。
映画を観ながら、自分の中にある固定概念に気付かされて、苦しいとも思った。メディアからの情報により、自分自身のアイデンティティを隠さなければならないような状況にしてしまっていることも目の当たりにした。
いろんな思いを味わって、複雑な、自分でもわからない気持ちでいっぱいだけれど、今日この映画を観られてよかったなと思った。」

「朝鮮学校の様子がわかるドキュメンタリーは初めて観ました。本などで読むことはありましたが、映像の説得力はより大きいものであると再確認しました。スタッフのみなさんにはこの作品がより多くの人に観てもらえるようこのような上映会を各地で開かれることを期待します。」

「生徒たちがまわりの人々を思いやりながら、みんなの愛情を受けて育っていることを自覚している点がすばらしいと思った。朝鮮学校への偏見をなくすためにも、この映画をたくさんの人に観てもらえたらと思った。北朝鮮の音楽が所々で聴けたのがよかった。」

한국에 사는 한국인은 자영스럽게 자신이 한국인이라는걸 알고 한국문화와 한국생활 해나가는 것이 너무나 당연한 것으로 받아들이고 살고 있지만 일본에 사는 재일코리안은 그것이 간단하지 않을텐데도 불구하고 생활을 유지해나가려고 노력하는 모습을 보면서 감동받았습니다.여기서 조선학교에 다니면서 자신의 아이덴티티에 대해 항상 고민하고 조선인으로서 살아가려고 노력하는 모습이 나같은 한국인보다 조선인 같이 보였어요. 한국인이지만,재일코리안을 한국인으로 부르지 않고 조선인으로 부르는것에 아직 위화감 느낍니다! 아무튼 자랑스럽게 느꼈습니다.
(韓国に住む韓国人は自然に自分が韓国人だということを知り、韓国の文化と韓国の生活をしていくことをあまりにも当たり前のように受け止めて暮らしているけれど、日本に住む在日コリアンはそれが簡単でないにも関わらず、その生活を維持していこうと努力する姿を見て、感動しました。ここで朝鮮学校に通いながら自分のアイデンティティについて常に悩み、朝鮮人として生きていこうと努力する姿が私のような韓国人よりも朝鮮人らしく見えました。私は韓国人ですが、在日コリアンを韓国人ではなく朝鮮人と呼ぶことにまだ「違和感」を感じます!とにかく、誇りに感じました。)
(韓国人大学院生)

「とても勉強になりました。朝鮮学校でとても活き活きしている生徒たちが一歩外へ出たとき、なぜ在日朝鮮人ということを隠さなければならないのか、私は納得ができません。うまく言うことができませんが、世界が平和になったらよいと思います。」(大学生)

「映画は楽しかったです。ありがとうございます。裁判必ず勝つようにがんばってください!応援します!いつかまた朝鮮学校にもう一回行ってみたいです!」(韓国人留学生)

「今までと違う観点で改めてこの映画を観てみて、本当にウリハッキョが在日朝鮮人運動の拠点であると感じたと同時に、だからこその負担は尋常じゃないなと思った。先生たちの心労を想像すると、いたたまれない気持ちに…。
また、編入生にももっと目を向けたいなと個人的に思った。ウリマルを喋れない苦痛と焦りでハッキョが嫌いになっちゃったりしないかなと心配になった。日高生が新しくウリハッキョに通うとなれば不安も大きいと思うので、徹底した国語(ウリマル)教育はもちろん、不安を抱える学生の心のサポート体制もできたらアピールできるなあ…と考えていた。自分がウリハッキョの力になるにはどうしようか改めて考える機会になった。」(在日朝鮮人大学生)

「すごく楽しそうでした。自分たちが守って愛していけるものがあることが大変だろうけれども羨ましくもあったりします。朝鮮学校について知ろうとして知れば知るほど自分がどこに立場を置くべきなのか分からなくなっていきます。今日は勉強になりました。」(大学生)

※ ※ ※


【おしらせ】
7月18日(木)14:00~名古屋地裁にて、朝鮮高校無償化除外問題に関する朝鮮高校生就学支援金不支給違憲国家賠償請求訴訟」の第2回口頭弁論があります。
たくさんの傍聴を呼びかけたいと思います。
当日は報告会はもちろん、抽選で傍聴できなかった方のために、簡単な学習会も準備しています。
※詳細⇒ http://mushouka.aichi.jp/2013/06/236 
(朝鮮高校無償化ネット愛知公式サイト)

2013年4月10日水曜日

朝鮮高校「無償化」除外問題が「試金石」であってはいけない


 USMは近年加速する朝鮮学校弾圧の流れに抵抗しようという意思を持つ愛知の日本人・在日朝鮮人有志のネットワークだ。朝鮮高校を「無償化」対象外とするため、政府は2013年2月20日付で省令を「改正」し、同時に申請中の各校を不指定とした。法廷闘争に突入したことによりさらなる継続的で広範な支援が必要となる一連の「無償化」除外問題について、「広範な支援」のために没歴史的に語ることによって日本の歴史的責任を不問にしてはならない、ということを焦点に、以下を提起する。

歴史的にみれば、日本政府には植民地支配による被害の原状回復義務として、在日朝鮮人の民族教育の権利を保障すべき歴史的責任と義務があるにもかかわらず、むしろ朝鮮学校を徹底して弾圧し閉鎖させ、現在まで一貫して民族教育弾圧を展開してきた。無償化問題は、戦前戦後一貫した日本の朝鮮人弾圧の歴史の流れに位置づけられるものであり、この歴史的観点を抜きに在日朝鮮人の民族教育の問題を語ることはできない。これは何度も確認しておかなければならない議論の土台である。

一方、いわゆる「リベラル」の視点から、「無償化」除外反対論において、「日本の度量・寛大さが試されている」といったロジック(2010年9月5日付朝日新聞社説「朝鮮学校無償化、日本社会の度量を示そう。速やかに実施を。」、2013年3月13日上野千鶴子Twitter @ueno_wan「教育はもともと未来への投資。日本社会の寛大さが問われています。」〈後に自ら削除〉)が見受けられるが、朝鮮高校生の就学支援金受給はそもそも法的な権利であり、不当に侵害されてはならないものだ。無償化制度を適用するという当然の対応が在日朝鮮人に対する日本の積極的な「功績」であるかのように語ることは問題であり、ひいては日本の加害の歴史に対する清算責任放棄を隠蔽する土壌をつくるものになるといえる。あくまで無償化の適用は、差別的取り扱いのマイナスをゼロにすることにすぎず、さらに遡及適用とその損害の賠償がなければゼロにすらならない。

また、「無償化」問題が俎上に載せられる過程で、自治体の補助金まで凍結される事態が相次いでいるが、自らの歴史的責任に言及することなく、「度量」を示すものとして在日朝鮮人の権利を「付与」するという言説は、自明の「権利」の問題であるはずの在日朝鮮人の民族教育権の問題を、日本の「度量」や「裁量」の問題にすりかえる危険なロジックである。

そして、「無償化」除外反対の擁護論として「『北朝鮮』の問題と朝鮮学校の子どもたちは関係ない」という主張もよく目にするが、確かに「拉致問題」「核実験」の責任を子どもに問うのは筋違いではある。しかし、「諸問題」を理由として日本政府が日朝国交正常化交渉を棚晒しにしたうえ、「制裁」まで行なっているのはそれが植民地支配責任から逃避として利用できる格好の材料とみなしているからであって、制裁の対象の問題ではなく、制裁政治パフォーマンスこそ批判しなければならない。また、「関係がない」という主張に関して注意が必要なのは、朝鮮学校はすなわち朝鮮民主主義人民共和国の学校ではないという含意がある場合、殊更にそれを強調し関係がないことによって正当性を主張しようとすることは、定住外国人としての在日朝鮮人の祖国との紐帯を分断しようとする暴力でもあるということだ。在日朝鮮人が祖国=朝鮮と関係があれば問題なのだろうか?

これは橋下大阪市長などの「北朝鮮や総聯との関係を完全に断てば補助金を支給する」というロジックの裏表である。祖国との関係をもつことは徹底して外国人の権利であって、干渉できるものではない。「反日教育」批判にいたっては、明確な他国・他民族に対する教育干渉であり到底許されるものではないし、干渉しうると前提しているのは払拭されない宗主国意識の現われではないか。また、祖国や総聯との関係を断つことで、在日朝鮮人を「難民化」させ、支配しようとする当局の欲望が垣間見える。こうした弾圧が繰り返されるのは、在日朝鮮人がただ「エスニックマイノリティ」だからではない。日本の歴史的犯罪を告発してやまない「政治的存在」であるからこそ、弾圧するのである。在日朝鮮人のその歴史性、政治的主体性をこそ奪おうとしている。

また、朝鮮民主主義人民共和国は、日本政府に対して植民地支配責任を果たすことを要求し、また、在日朝鮮人の民族教育を支援してきた国家である。その意味で徹底して「反日」である。しかし、だからこそ「反日」には普遍的意義がある。「反日」という言葉で拒否反応を示して思考停止するのではなく、その内実としっかりと向き合うことこそが今、求められている。

在日朝鮮人は、日本の民主主義(そんなものがあったのかどうかは疑問であるが)の「試金石」として存在しているのではない。「無償化」除外問題の本質である歴史性を無視したままでは、「無償化」除外問題がたとえ解決されたとしても、第二、第三の「無償化」除外問題を引き起こすことに繋がるのではないか。朝鮮(人)に対しては何を言ってもいい、というような空気感の中で、政府は「国民の理解」を口実に堂々と差別・弾圧を行っている。日本人一人ひとりのあり方が今、厳しく問われている。
(インパクション189号初出 2013年4月5日 インパクト出版会)


※愛知・朝鮮高校生に対する就学支援金不支給国家賠償請求訴訟のお知らせ

第一回期日・4月16日(火)14時~、名古屋地方裁判所 1号法廷
(傍聴希望者多数の場合抽選。13時30分までに地裁前にお集まりください。)
・・・弁護団長と原告2名の意見陳述と訴状要旨陳述(予定)

終了後、弁護団による報告集会。15時30分~@アイリス愛知
傍聴できない方も、是非ご参加ください。原告(学生)を応援しましょう!